インターネットの名前付けの歴史


目次

はじめに
インターネットの管理組織
DNSの仕組み
DNSの名前空間
名前登録の問題
IAHCとgTLD DNS協定書
DNS管理の最新動向('98.7)
DNS管理の最新動向('98.10)
DNS管理の最新動向('2000.11)
DNS管理の最新動向('2001.3)
ドメイン名の管理事業を解放('2001.6)
(付録) 関連URL

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はじめに

 インターネットは、1969年に4つのノードからなる実験ネットワークとして始まった。資金を提供したのはDoD(Department of Defense)とのちのDARPA(Defense Advanced Reserch Projects Agency)である。そのころのネットワーク・プロトコルは、1バイト数字を使ったアドレッシングを採用していた。そのため、相互接続できるマシン数は最大256台までであった。その後IPv4へと進化し、より柔軟なアドレッシング方式となった。
 AT&Tベル研でUNIXとC言語が生まれると、それらはすぐにネットワーク研究の共通語(linguafranca)となった。UNIXのソースコードは、研究用OSとして各大学に安く提供された。1980年代の初め、UCB(University of California, Berkeley)のCSG(Computer Systems Group)は、DARPAの資金援助を受けて、Berkeley UNIXにTCP/IPとネットワーク機能を追加した。1980年代半ばまでに、NSF(National Science Foundation)はこの技術をほかの大学にも広めることに力を入れ、NSFNET(スーパーコンピューターによるネットワーク)の構築を始めた。インターネットを支えるTCP/IPは、おもにこうした研究機関や大学から発展した。
 一方、民間企業はもっぱら独自のネットワーキング機構の売込みに忙しかった。IBMには、メインフレームとマイクロコンピュータ用のSNA(System Network Architecture)があった。DECは、DECnetとPATHWORKS製品を販売していた。Novellは、NetWare製品群によるデスクトップ市場をもっていた。AppleはネットワーキングにAppleTalkプロトコルを用い、MicrosoftとIBMはデスクトップPC市場向けにLAN ManagerとLAN Serverの普及に務めた。
 インターネットで使われるTCP/IPとこれらの独自プロトコルとでは、名前やアドレスの付け方が異なっていた。さらに、両者のあいだには”精神”の違いがあった。
 1990年代初めまでは、インターネットはおもに協調と共有によって成り立っていた。小さなサイトの多くはモデムと音声用の回線を使い、大学や研究機関の協力を得て断続的にインターネットに接続していた。電子メールやNetNews、ファイル転送といった要求を処理したり、インターネット経由で最終配送先にトラフィックを転送してくれる組織に接続したりするには、おもにUUCP(UNIX-to-UNIX CoPy)プロトコルとそのアプリケーションが使われた。インターネットへの接続をほかのサイトに頼っているUUCPサイトは北米中に分散していた。大部分のUUCP転送は、電話料金がもっとも安い深夜におこなわれた。もともとUUCPとインターネットは分散したものなので、その管理は多くの協力と合意にもとづいていた。
 1970年代後半に、インターネットは約25のネットワークと数百台のホストマシンを含むまでに成長していた。当時、ホストマシンに付けられた論理名はマスターHOSTS.TXTファイルに書かれていた。このファイルは、DARPAが資金援助したNIC(Network Information Center)により管理されていた。NICは、新規ホストに対して一意な名前を発行し、それをこのような全体表(global table)に追加した。リモートホストは、定期的にマスターのHOSTS.TXTファイルをローカルマシンにコピーして現状を反映していた。
 しかし、1981年までに、全体表の大きさと新しいホストやネットワークの追加による更新頻度がシステムの限界を超えた。ネットワーク名の集中データベース管理における問題を回避する分散データベースが求められた。
 この間、32ビットのIPアドレスによる現状の形式を前提としたIPのプロトコルとアドレスの機構は、各種のネットワーク・クラス(クラスA〜C)に分割され、膨大な数のネットワークやローカルホストを接続できるようになった。初期のネットワーク名前付けシステムはNICに一局集中していたが、それに代わるDNS(Domain Name System)は、ネットワークの名前付けを行う認可組織を分散するものだった。
インターネットの管理組織
 NIC(Network Information Center)は長年にわたりSRI(Stanford Research Institute)内にあって、IPアドレスと(.com、.edu、.gov、.mil、.org以下の)第2ドメイン名の割当てを管理していた。
 NICは当初DoDから、のちにNSFから資金援助を受けていた。インターネットはすでに海を越えて、ヨーロッパのネットワークに接続されていたが、インターネットの資源(IPアドレスやドメイン名など)は米国のものであるかのように管理されていた。IPアドレスや第2ドメインが必要な組織はSRI-NICに申請していた。割当ては無料だった。
 SRI-NICはRFC(Request for Comments) も発行していた。RFCはインターネットで使われるネットワーク・プロトコルを定義した文書で、ARPANETの黎明期にあたる1969年から作られている。1980年代から1990年代初頭にかけて、NICは新しいRFCを印刷し、希望者に安く郵送していた。SRIも、800番までのRFCを3巻にまとめた。専用線によるインターネット・アクセスは一般的ではなかったので、SRI-NICはメールバック・サービス(電子メールで要求を送ると、自動的にメールで該当するRFCを配布してくれる)もおこなった。RFCの編集にあたったのは、USC(University of Southern Clifornia)のISI(Information Science Institute)に所属するJon PostelとJoyce Reynoldsだった。
 NICとは別に、いくつかの非営利組織がインターネットの発展を支えた(表1)。その活動の大半は、インターネット・プロトコル群の技術面の検証とインターネット標準の開発だった。1990年代初期に、インターネットの開発を統括する外郭組織はISOC(Internet SOCiety)に移された。ISOCは非営利の国際組織として新設され、本部はバージニア州レストンに置かれた。
 もっとも有名な組織はIETF(Internet Engineering Task Force)で、RFCを発行している。IETFにおける技術研究はワーキング・グループ(WG)で行われている。WGはいくつかの分野(経路制御、ネットワーク管理、セキュリティなど)およびテーマ別に編成され、各グループで選ばれた担当理事が統括している。通常、WGの研究範囲は限られていて、具体的な作業が続く限り存在する。電子メールで参加したり、ミーティング(たいていはIETF会議で開かれる)に出席すれば、誰でもWGのメンバーになれる。
 IESG(Internet Engineering Steering Group)は、現在ISOCから全権を委任され、IETFの技術活動を統括している。インターネットにおける標準化手順を管理し、”標準化過程(standard track)”に沿った技術仕様の進捗活動などに責任を負う。IESGは、新しいWGを最初に承認し、正式なインターネット標準の採択に関する最終決定権をもつ。これまでに発行された2,200余のRFCのうち、正式な標準として採用されたのはわずかである。IESGはIETFの分野担当理事と議長から構成され、IETFの議長はIESGの議長も兼ねる。
 IAB(Internet Architecture Board)は、ISOCから全権を委任され、インターネットのアーキテクチャとそのプロトコルを監督している。IABはIETFの議長を指名し、IETFの任命委員会が推薦したほかのIESG候補者を承認する。IABには、新しいIETFのWGの憲章を審査し、承認する責任もある。IABはインターネットの標準化過程を監督し、標準化作業のなかで誤った判断が下されたとの異議が出た場合、それを審議する。
 IETFやIESGにより定義されたインターネットのプロトコル群には、一意に割り当てなければならない多くのキーワードやプロトコル・パラメータが含まれている。これらのプロトコル・パラメータには、バージョン番号、プロトコル番号、ポート番号、MIB(Management Information Base)識別子、MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)タイプなどがある。ISIに間借りしているIANA(Internet Assigned Numbers Authority)がこれらの公式番号を発行する。IANAは、.intドメイン下の第2ドメイン(SLD)名を割り当てる権限をもつ。.intドメインは、もともと国際条約や国際的な委任を受けて活動する組織のために設立された。IANAは、.usドメイン下のSLDに対しても同様の権限をもっている。さらに、米国以外の2文字の国記号で定義されるトップレベル・ドメイン(TLD)群に対して、各国の組織に権利を委任する責務がある。


表1 インターネットの管理組織
名称説明
IAB(Internet Architecture Board)旧称Internet Activities Bord。1983年に設立された、インターネットに関する技術標準を決定する団体。ISOCの下部組織で、下部機関にRFCなどの標準を策定するIETFと、インターネットに関する様々な調査・研究を行なうIRTFがある。
IANA(Internet Assigned Numbers Authority)IP群に一意の番号を割り当てる機関。現在、ISOCと連邦ネットワーク評議会から全権を委任され、IPで使われる多くの番号の割り当てと調整をおこなっている。実際の業務は各国の下部組織が担当している。日本でアドレス資源の割り当て業務を行っている団体はJPNIC。
IESG(Internet Engineering Steering Group)インターネット標準の主要な審査機関。IETFの分野担当理事で構成される。現在はISOCの下で運営されている
IETF(Internet Engineering Task Force)技術面の定義とより進んだIP群の開発をおこなう。RFCやFYIを発行する
IRTF(Internet Research Task Force)インターネット標準を目的としない、純粋に研究的なプロトコルのみを扱う機関
ISOC(Internet SOCiety)インターネットにおける世界的な協力と調整、インターネットワーキング技術やアプリケーションの開発を促進するために、1992年に設立された国際的な非営利組織。現在、IAB、IESG、IETF、IRTF、IANAはISOCから全権を委任されている
NIC(Network Information Center)インターネット上で利用されるIPアドレスやドメイン名などを割り当てる民間の非営利機関。IANAの下部組織に当たる。NICの総本山はアメリカにあるInterNICで、ヨーロッパを管轄するRIPE-NCC、アジア・太平洋地域を管轄するAPNICと協力して管理を行っている。この3団体の下に各国NICがある(InterNICは北中南米、アフリカ、その他の地域を統括している)。NICのない地域では、APNICなどその地域を統括するNICが業務を代行している。

DNSの仕組み

 1983年に登場したDNSは、ネットワークの転換期を告げるものであった。HOSTS.TXTファイルはUNIXシステムの /etc/hosts ファイルに名残をとどめている。DNSには重要な要素がいくつかある。
・ルートあるいは最上位ドメイン(TLD:Top Level Domain)を除く、分散された階層的な(木構造の)名前空間
・これらのルートドメインを管理する中央の認可組織
・ネットワークの問い合わせに答える分配配置されたネームサーバー(プライマリとバックアップ)
・名前とアドレスの対応情報をネームサーバーに問い合わせるリゾルバ(またはクライアントプログラム)
・クライアントが名前からIPアドレスを得たり、プライマリDNSサーバーからバックアップDNSサーバーにデータベースを更新するために使われるDNSプロトコル
 クライアントから見ると、DNSは無数のネームサーバーで構成されている。各ネームサーバーは、インターネットの名前空間のほんの一部にあたる名前とアドレスの対応情報、階層構造の上位にある(最低でもルートドメインの)ネームサーバーの短い一覧をもっている。
 ネームサーバーから見ると、DNSはゾーン(単一または複数ドメイン)と呼ばれる一群のローカル情報で構成されている。ネームサーバーはいくつかのゾーンについて、名前と資源を対応づけたデータベースをローカルで保存している。最新の状態を保つために、ネームサーバーはローカルファイルのマスターコピーからゾーンデータを定期的に更新する必要がある。ネームサーバーがバックアップ・サーバーの場合は、プライマリ・ネームサーバーからコピーする。ネームサーバーは、管理するローカルゾーンで定義された名前に対する問い合わせにも答えなければならない。管理していないゾーンに対する問い合わせを受け取ったら、要求された情報について他のネームサーバーに問い合わせるか、他のサーバーのIPアドレスをクライアントに返す。

DNSの名前空間

 インターネットで使われる名前空間は、あらかじめ定義された少数のTLD(表2)で始まっている。広く用いられている .com、 .edu、 .gov ドメインのほかに、2文字の国記号を使った一連のTLDが定義された。たとえば、.us は米国の、.fr はフランスのTLDである。
 設立当初から、NICはIPアドレスの割り当てと、主要なTLDに属する第2ドメイン(SLD)の登録に関する責務を負った。各国は、自国のTLDに属するSLDの登録を委任された。たとえば、.us TLDはさらに、州が管理する第2ドメイン(オレゴン州なら.or.us)に分割された。
 以前は、ネットワーク管理者がNICに第2ドメイン名を申請すると、申請した組織の分野にもとづいて、これらのルートドメインのいずれかがそのネットワークに割り当てられた。しばらくすると、組織は特定のTLD下の第2ドメイン名を要求し始めた。
 さらに、SLDは配下の名前空間とドメインに関する権限も委任された。したがって、これらのSLD(sun.comなど)は、自ドメイン以下にどんなローカル管理ドメイン(eng.sun.comなど)も割り当てることができる。DNSの階層は木構造で表せるが、平面木(fkat-tree)や広域木(wide-tree)による実装がもっとも一般的である。
 米国では、国記号を使ったドメイン名はまったく人気がなかった。大部分の組織は、海外の組織でさえ、人気の高い.comや.org、.net TLD下への登録を好んだ。.usドメインの難点は、地域単位に分割されているために、しばしば長くて覚えにくいネットワーク名になってしまうことである。

表2 初期のDNSのTLD
ドメイン名意味
.com商用ドメイン
.deu学術機関(現在は米国の学術機関)
.gov政府機関(現在は米国の政府機関)
.mil軍事機関(現在は米国の軍事機関)
.net主要なネットワーク・サポートセンター
.org上記以外の組織(現在は組織全般)
.arpa過渡期のARPAドメイン(すでに廃止)
.int国際組織
国記号2文字の各国のTLD(地理的構成)
.netおよび.intドメインは、初期のルートドメインを定義したRFC820
(1984年公開)には記載されていないが、その後NICにより追加された。

名前登録の問題

 10年以上にわたり、NICの本部はSRI(Stanford Reserch Institute)にあって、IPアドレスとルートドメインの唯一の登録機関として機能してきた。NICは、インターネット文書(インターネットとその発展を定義してきたRFC)のアーカイブ組織の1つとしての役割も担った。IPネットワーク・アドレスが要求でき、第2ドメイン名の無料登録が可能だった。
 こうした初期の数年間、インターネット・バックボーンとNICはDARPAとDoDから資金提供を受けた。このインターネットワーキング技術の主要なユーザは、米国の組織(国防機関や研究機関、2〜3の学術機関)だった。
 その後、NASAとNSF(National Science Foudation)が資金を援助して、ほかの多くの大学に技術育成の機会を提供した。ネットワークの物理的な構成要素だけでなく、ネットワーク情報を管理・普及する組織もNSFの資金援助を受けた。これは、IAB(Internet Activities Board)やIETF(Internet Engineering Task Force)として具体化した。
 電子メール、FTPアーカイブ、Goherサーバー、そして最近のWWWの発展にともない、インターネットは真の意味での世界的な資源となった。ヨーロッパとアジアには、IPアドレス割当ての権限を与えられた組織が置かれ、複数のIPアドレス群が渡された。
 SRIにあったNICは1993年4月にその役目を終えた。NSFが、NSI(Network Solution Inc.)とAT&T、General Atomicsからなるコンソーシアムとネットワーク業務に関する5年契約を結んだのである。この新しいInterNIC体制のなかで、NSIはネットワークの登録を処理し、IPアドレスの割当てとSLD名の登録を行った。AT&Tはデータベース操作(ネームサーバ、RFCのアーカイブなど)を担当した。General Atomics(当時の南カリフォルニアの地域ネットワークCERFNetの管理組織)は、ヘルプ窓口として機能した。
 コンソーシアムのメンバーは、この新しいNSFNET体制をInterNICと呼んだ。General Atomicsは間もなく撤退したので、現在のInterNIC登録を扱うNSIとデータベースを管理するAT&Tで構成される。
 1996年にNSIはSLDの名前登録に年間50ドルの料金を課し始めた(2年分の前払いを請求する)。これは現在の名前登録の爆発的な増加により、たちまちにしてNSIに意外な収入(年間4000万ドル以上)をもたらす結果となった。
 インターネットの大部分を米国の組織や企業が占めていたころは、人気の高いTLD(.comや.org、.net、.int)をNICが管理するのは合理的だった。しかし、時とともにこれらのドメインは、米国のネットワーク・ユーザーだけのものではない、一般的(generic)あるいは包括的(gloobal)なTLD(gTLD:generic Top Level Domain)として認識されるようになった。

IAHCとgTLD DNS協定書

 数年前から、インターネットの開発と管理を担当するインターネット組織のメンバーは、これらのgTLDの名前登録における問題に関心をもつようになった。国務省は、ドメイン名に関するワーキング・グループを設立した。NSIの契約更新(1998年)が近づいた1996年秋、これらの議論は重要な局面を迎えた。
 1996年11月、ISOC(Internet SOCiety)はいくつかの組織の協力を得て、TLDの名前空間の管理と用途を変更する勧告を出すために、IAHC(Internet AdHoc Committee)に全権を委任した。IAHCはISOC、IAB(Internet Architecure Board) 、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)、ITU(International Telecommunication Union)、WIPO(World Intellectual Property Organization)、INTA(INternational Trademark Association)から指名された11人のメンバーによる特別委員会を設置した。IAHCの勧告に拘束力はなかったが、委員会の体制と手順が公開されていることを考えると、その提案はかなりの影響力をもちそうだった。
 IAHCは、Webサイト(http://www.iahc.org/)と批評や議論のためのメーリングリストを開設したり、公開フォーラムを主催して、RFCの標準化過程と同様の形式によるドラフト提案作成を迅速に進めた。1997年2月、IAHCはgTLDの運用と管理のための勧告に関する最終報告を提出した。
 IAHCの最終報告では、DNSとそのサービス、gTLDの管理、商標問題の3つの分野について勧告を出している。IAHCは、インターネットのTLDの空間が公共資源であり、公的機関に委託すべきものと考えた。したがって、インターネットのTLD空間の管理と使用、展開は、公開された方式でおこなう社会規範(public-policy)とみなすべきである(NSIのような民間企業が管理するものではない)。.comや.org、.net TLDは国際TLDと呼ばれることが多いが、gTLDのほうが用語として適切である。.int TLDだけが真の意味での国際的な名前空間を意味する。現在これらのgTLDの管理が難しいのは、.us TLDの用途が不適切なためである。IAHCは、ほかの国々と同じように、米国でも機能重視のSLD(.com.usや.org.usなど)を定めて用いるべきだと勧告した。
 IAHCは、官民双方に署名を求めるgTLD DNS協定書(gTLD-MoU:gTLD Memorandum of Understanding(一般トップ・レベル・ドメインに関する覚え書き))により、規定を設けない手法の枠組みを確立すべきだと勧告した。スイスのITUが、gTLD-MoUの保管と署名組織の一覧の発行に同意した。1997年5月には、この文書を支持する世界中の組織が、賛同の意を表す署名式典に参加した。国内では、JPNICやインターネット協会をはじめ、12の組織が署名者になっている。署名者の総数は、98年1月6日現在で220を超えている。
 gTLD-MoUの示す内容は、「自律的かつ市場指向的な方法で、現在および将来のドメイン空間における利害関係者が、最大の恩恵を受けられること」を目指したものである。公共の資源であるgTLD空間が公共の信頼の下に使われることを原則とした。
 特徴は、ユーザが登録を登録を申請する登録受付機関(レジストラ)と、登録の安定性や登録プロセスの公平性を維持するレジストリを分けて設置することである。
 レジストラは、地球規模に分散して設け、サービスを競い合う。そして、レジストラの代表で組織するレジストラ協議会(Council of Registras:CORE)が、登録管理機関であるレジスリの役割を果たすことを定めた。
 IAHCは、gTLD-MoUによる調整にもとづいて定義されるべき将来のgTLDについて、表3に示す7つのgTLDを挙げた。

表3 IAHCが推奨する新たなgTLD
gTLD目的
.firmビジネス、または企業向け
.store商品を販売する企業向け
.webWWW関連の活動に重点をおく組織向け
.arts文化、娯楽活動を中心とする組織向け
.recレクリエーション、娯楽活動に中心とする組織向け
.info情報サービスを提供する組織向け
.nom個別、個人の名前を希望する者向け
 IAHCの報告では、運用や管理のために、
  • 複数の登録組織を競合させる
  • 世界的に分散させる
  • 運用は、登録組織が署名した協定書(CORE-MoU)で制定したCORE(Council of Registrars)がおこなう
ことを推奨している。COREは非営利団体としてスイスに置かれ、一般的なサービスを提供する。COREが管理する中央のデータベースは、競合する登録組織で共有される。

その後、IAHCは解散し(Webサーバはまだ稼働しているが)、協定書に署名した組織の代表であるgTLD-MoUが代わりを務めた(http://www.gtld-mou.org/)POCとPABが設置され、活動を始めた。
 gTLD全体の運用ポリシーはIANA、ISOC、MoU保管人、IAB、CORE、ITU、WIPO、INTAの代表からなるgTLDポリシー管理委員会(Policy Oversight Committee:POC)が決定する。COREは、POCの定めた方針に従ってgTLDの登録業務を運用する。一般から集まったgTLD-MoUの署名者(Signatories)は、PAB(Policy Advisory Body)と呼ぶ組織のメンバーとしてgTLD運用に対し意見を述べることができる。さらに、知的財産権の紛争を解決するために、異議申し立てパネル(Administrative Challenge Panels)と呼ぶ、専門の紛争処理機関を作ることを示唆している。
 ユーザからgTLDドメイン名の申請を受付ける業者であるレジストラは、1997年実施された第一次公募によって選出済みである。応募のための条件は、50万ドル以上の商事一般責任保険に加入していること、5名以上のフルタイム従業員を登録業務に従事させること、30万ドル以上の流動資本を持つこと、現在流通する明確なドメイン名を持っていること−の4項目の基準を満たすというものだった。そのほかに、サーバ管理やRDBMS(relational database management system)に習熟した技術者がいることなどの技術的用件がある。応募者はPOCが指名した第三者(米アーサー・アンダーセン)によって審査された。レジストラの選考結果はgTLD-MoUのWebページで公開されている。
 公募の結果、88の組織が選出されている。日本からは、国際調達情報、アーク、それに東京インターネットの3社が選出された。
 実際の登録作業は、SRS(shared registry system)と呼ぶ共通の登録システムを通して実施することになる。世界中に分散しているレジストラは、SRSを利用するための共通のクライアント・ソフトを導入し、公平に登録機会を持つ。

表4 現行のトップ・レベル・ドメイン(TLD)の種類
ドメインの種類ドメイン名管理組織
一般ドメイン(gTLD)
generic(general) top level domein
.com米ネットワーク・ソリューションズ(NSI)が米政府の委託を受け登録・管理している
(NSIは2000年6月に米VeriSign社に買収された)
.net
.org
国別ドメイン(ccTLD)
country code top level domein
.jp(日本)世界各国に割り当てられたドメイン
ISO-3166に基ずく2文字が割り当てらている。
登録・管理は各国のネットワーク・インフォメーション・センタなどに任されている(日本の場合はJPNIC)詳しくはこちら
.kr(韓国)
.us(米国)
.fr(フランス)
.de(ドイツ)
.gb(英国.ukも可)
・・・・など
国際ドメイン.int国際組織向けのドメイン
IANAが登録・管理する
 
特殊ドメイン.edu(米国固有)米国の教育機関・政府機関・軍事組織向けのドメイン
米政府が登録・管理する
.gov(米国固有)
.mil(米国固有)

DNS管理の最新動向('98.7)

 米商務省(NTIA(電気通信情報局)ベッキー・バール副行政官)は1998.6.5、インターネットのドメイン名システム(DNS)およびアドレス管理の改革に関する政策(ホワイト・ペーパー)を発表した。それによると「米国政府は、インターネットのドメイン名とアドレスに関する一切の権利を、2000年9月末までに非営利の民間法人に委譲する」というものである。
 インターネットは米国防総省や全米科学財団(NSF)などの政府機関によって生み出され、その支援を受けて発展してきた。こうした経緯からDNS/アドレスの管理権限を、米国政府が握っていた。その米国政府が、DNS/アドレスの管理の改善についてイニシアティブを取り、新しいインターネット・ガバナンスの姿を提案するというのだ。
 現在のインターネット・ガバナンスの構造を下図に示す

略号の意味
略号意味
NSFNational Science Foundation(全米科学財団)
DARPADefanse Advanced Research Projects Agency(国防総省防衛先端研究計画局)
NSINetwork Solutions Inc.
ISIInformation Sciences Institute(南カリフォルニア大学情報科学研究所)
IANAInternet Assigned Numbers Authority
ISOCInternet Society
IABInternet Architecture Board
IETFInternet Engineering Task Force
IRTFInternet Research Task Force
RIPEReseaux IP Europeens
APNICAsia-pacific Network Information Center
ARINAmerican Registry for Internet Number
JPNICJapan Network Information Center
gTLDgeneric Top Level Domain
ccTLDcountry code Top Level Domain
DNSdomain name system

 今回の発表で、特に力を入れたのは次の部分だった「この政策声明は、画一的なインターネット・ガバナンスの姿を提案しているのではない。米国政府は、DNSの管理を民営化し、競争を導入するが、インターネットが特定のグループに占拠されることがないように、透明で確固としたプロフェッショナルな代表組織が、民間の手によって速やかに設立されることを望む」−。
 米国政府が描いているのは、ガバナンスの中身ではなく、これからのガバナンスを担うことになる「代表組織」のあり方だった。
 インターネットは、アドレス解決(ドメイン名とIPアドレスの対応付け)の仕組み、ドメイン名とIPアドレスを世界的に固有なものを割当てることが機能していなければならない。これまでその役割は、米国政府と民間の企業/団体との契約に基づいていた。NSFと民間企業のNSIとの業務委託契約。DARPAとISIとの委託契約である(上図参照)。
 NSIは、DNSの階層の頂点に位置する`A’ルート・サーバーの運用・管理とgTLDをユーザに割り当てる業務を独占的に提供している。ルート・サーバーは、ユーザがアドレス解決をするために最初に問い合わせるデータベース。NSIが管理する`A’ルート・サーバーは、常に最新のデータを保有し、他に12台あるルート・サーバーに日毎にデーターを更新する。
 IANAは、ドメイン名全体の管理、IPアドレスの管理、プロトコル・パラメータの割当てなどを一手に引き受けている。
 米国政府は、NSIやIANAとの契約関係を断ち切り、自ら、インターネット管理者としての座から下りることを決めたのである。この決断の背景には、インターネットを大学の研究室や研究機関の”実験ネットワーク”の延長ではなく、本格的なビジネス・インフラとして利用できる体制を早急に整えたい、というホワイト・ハウスの意向がある。
 ホワイト・ペーパー公表するや、インターネット関連組織が次々にホワイト・ペーパーを支持する見解を発表した。特に、gTLD-MoU関連のIANA、ISOC、POC、COREも同調する姿勢を示した。gTLD-MoUグループとホワイト・ペーパーの支持グループが分裂するような事態には至らなかった。非営利の新法人の核にIANAが収まり、事実上、gTLD-MoUの枠組みをほぼそのまま継承できる見通しがたったためと見られる。
 実際、ホワイト・ペーパー公表の同日、IANAは早くも非営利の新法人の核となるべく名乗りをあげた。現在のIANAが技術・ノウハウの提供を含めてその核となっていくことは間違いないだろう。

DNS管理の最新動向('98.10)
 米商務省は1998.10.6、政府との契約のもとでドメイン名登録作業を管理している米ネットワーク・ソリューションズ(NSI)と、新たな合意に達したと発表した。NSIへの業務委託契約を2000年の9月末まで延長したのである。
 これにより商務省が9月30日を期限に移行準備を進めていたインターネット改革案の実現が大幅に遅れることが決定的になった。gTLD(com,net,org)ドメイン名の登録や、DNSサーバー最上位に位置するルート”A”サーバー運用管理は2000年までは、NSIの独占体制が続くことになる。
 この契約延長は、これまで進めてきた民営化計画を白紙に戻すわけではない。民営化に向けて必要な調整作業がまだ山積みしているため、移行までの猶予期間を設定し直した格好である。
 新しい契約の特徴は、NSIがドメイン名の登録業務をより競争的なものにするための協力を惜しまないと明言したこと。この契約のもとでNSIが技術開示を進め、他企業にもドメイン名の登録事業に参入する機会が与えられることになる。NSIは、10月中旬にドメイン名登録業務に関するすべてのデータ、ソフトウェアなどの資産を米国政府に提出。その後、99年3月末までに、共有登録システムを構築し、複数の事業者がドメイン名の登録作業をできるようにする。
 合意により、NSIの独占体制は最終的には解消する方向に向かい始めた。しかし、新体制への移行の成否はいまだに不透明なままである。というのも、肝心の新しい民間非営利法人の設立にめどが立ってないからだ。
 新しい民間非営利法人の設立については、IANAをはじめ、民間企業らを中心とするボストン・ワーキング・グループなど、複数の団体、個人が商務省あてに設立案を提出している。
 最も有力なのが、IANAが提案している新法人「ICANN](internet corporation for assigned names and numbers)。IANA案は、7月にジュネーブで開かれたINET'98をはじめ多くの国際会議の場での論議の的となっており、国際的な合意によって設立する必要があるという米国政府の意向に沿う唯一の案と言える。IANAは10月2日に暫定理事メンバーの候補を発表し、今後、広く一般から常任理事を選出する予定である。


DNS管理の最新動向('2000.11)
 インターネットのドメイン名やIPアドレスの割当て方針を決定する国際組織であるICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は'98に設立され暫定理事により運営されていたが、2000.10.10(日本時間)にICANN一般会員(全世界で158,000人を越える)による投票による理事選挙が行われた。この選挙はアフリカ地区、アジア太平洋地区、ヨーロッパ地区、ラテンアメリカ地区、北アメリカ地区の5つの地区から、それぞれ1名づつの理事を選出するものです。アジア太平洋地区からは5人が立候補しましたが、加藤幹之(日本)が13,913票を獲得して理事に選出されました。

 2000.11.16 ICANNは新しい7つのトップ・レベル・ドメイン(TLD)を最終候補に選出したと発表した。
 また同時に、これらのTLDを管理する登録処理機関(レジストリ)の候補となる企業/団体も決めました(表5参照)。


表5 2001年第2四半期に運用開始の7つのトップ・レベル・ドメイン(TLD)の概要
区分ドメイン名想定される利用者レジストリ(登録処理機関)の候補
汎用bizBusinesses
(あらゆる企業や団体など)
JVTeam, LLC (now known as NeuLevel)
(米JVチーム)
infoUnrestricted use(無制限)
Afilias, LLC(米アフィリアス)
nameFor registration by individuals
(個人向け)
英グローバル・ネーム・レジストリ
proAccountants, lawyers, and physicians
(医師や法律家などの専門家向け)
RegistryPro, LTD
(RegistryPro, LTD アイルランドのレジストリプロ)
特殊用途aeroAir-transport industry
(航空関連産業界向け)
Societe Internationale de
Telecommunications Aeronautiques
SC, (SITA)
(スイス)
coopNon-profit cooperatives
ICA(国際協同組合同盟)の会員向け
National Cooperative Business
Association, (NCBA)
(米)
museumMuseums
ICOM(国際博物館会議)の会員向け
Museum Domain Management
Association, (MDMA)
(米)

 現在、米国をはじめ世界中の企業や団体が使っているcom,net,orgの三つのTLDは、「一般ドメイン名」(gTLD)と呼ばれ、組織の形態や国籍の区別なくだれもが取得できる文字列として運用されている。
 今回追加された七つの新ドメインのなかでは、biz,info,name,pro がこのgTLDに当たり、登録の際の制限がない。これに対しaero,coop,museumは、それぞれ特定の業界向けのドメイン名として運用する。ドメイン名の登録の際には、レジストリが登録審査を実施する方針だ。
 そもそも今回のTLD追加は、gTLDの登録業務を米政府から請け負っていたネットワーク・ソリューションズ(NSI)が95年にその登録を有料化したことに端を発する。NSIがgTLDの登録業務を独占していることに対する批判が相次ぎ、ドメイン名登録にも競争原理を導入すべきとの声が高まった。独占では、料金値下げやサービス・レベルの向上が見込めないからである。
 そこで、インターネット関連組織などが中心になって96年10月、新たなドメイン名運用体系を構築するための暫定機関としてIAHC(Internet International Ad Hoc Comittee)を設立。「firm」,「shop」,「web」など七つの新gTLDを提唱し、88社の登録代行業者(レジストラ)も選定した。
 ところが、米国政府がIPアドレスやドメイン名の管理は民間の非営利組織が担当すべきとする「ホワイト・ペーパー」を98年に発表し、IAHCの構想は白紙に戻された。その後、新TLDの追加は非営利組織のICANNが改めて着手。47の企業や団体が提案した様々なプランを検討し、その上でようやく決まったのがbizをはじめとする新TLDである。
 新gTLDの導入で競争原理が働けば、料金の値下げやサービスの向上が期待できる。料金面でのメリットはまだ表れていないが、選択の幅は広がり始めている。
 例えば、現行のgTLDを運用しているNSIが登録を開始した多言語ドメイン名がその一つ。「日本語.com」のようにcomやnetの左隣のセカンド・レベル・ドメイン(SLD)に日本語が使えるドメイン名である。日本語のほかにも中国語と韓国語に対応する。NSIは2000年11月10日、世界一斉にcom、net、orgについてこの多言語ドメイン名の登録受付を開始した。国内でこのドメインの登録代行を請け負っている事業者の1社であるインターキューによれば、「当社だけで、開始後1週間で約2万件もの登録を受け付けた」という。
 また、国内で国別TLD(ccTLD)の「jp」の登録を担当している日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)も、これらの競争と無縁ではなく、自ら改革を進めている。その一つが2001年2月に登録受付を開始する予定の「汎用jpドメイン名」である。
 汎用jpドメイン名は、「koshino.jp」のように、coやneなどのSLDを使わず、末尾の「jp」のすぐ左側に文字列を登録できるというもの。文字列は日本語でも構わない。日本で活動している組織や居住している個人であれば自由に登録できる。従来の「1組織にドメイン名は一つだけ」、「coやneなど属性ごとに設定したSLDで登録を割り当てる」といった制限もない。
 JPNICはこの汎用jpドメインの登録・管理業務を、JPNICが出資して新しく設立する民間会社に委託することを決めている。現行のjpドメインの管理も順次、新会社に移管していく予定だ。
 その後(2000年12月26日)、JPドメイン名の登録及び管理、ドメインネームシステムの運用を行う会社として(株)日本レジストリサービス(JPRS)が設立された。Web上からドメイン名を登録できるなど、登録手続きの簡素化にも取り組んでいる。
 ただし、汎用JPドメイン名の登録料は、JPRSよりも同社から委託を受けた「指定事業者」と呼ばれる代行サービス業者のほうがいくぶん安いようだ。

DNS管理の最新動向('2001.3)
 日本ベリサインは2001年3月22日、企業向けのドメイン登録・管理サービス「ベリサイン コーポレート ドメインネーム サービス」を国内で始めると発表、受付を即日開始した。米VeriSign社は2000年6月にドメイン登録・管理の最大手であった旧米Network Dolutions社を買収した。今回開始するサービスはVeriSign社が旧Network Solutionsから引き継いだサービスを国内企業向けに提供するものである。
 提供するサービスは
1. ccTLD(country code Top Level Domain)と gTLD(general Top Level Domain)、2バイト文字のドメイン名の登録代行。
2.取得したドメイン名の更新や移転代行
3.各企業のブランド名や商標に合わせたドメイン取得のコンサルティング
4.第三者に先行取得されたドメイン名を獲得するための提案
5.関連するドメイン名に対する不正な登録・変更・削除の防御
など、幅広いサービスを提供することで、今後煩雑化するとみられる企業のドメイン管理業務に対応する。
 また、日本ベリサインはディジタル証明書を発行する認証局(CA:Certification Authority)や公開鍵基盤(PKI:Public Key Infrastructur)サービスなどを提供するセンタを国内に設置することも発表した。2001年4月1日に国内で施行される電子署名法を機に、国内企業のCAやPKIに対するニーズが急速に高まるとみている。今回設置するセンタは、政府系認定機関が認める認定認証局になることを目指すという。

ドメイン名の管理事業を解放('2001.6)
 米商務省は5月18日、米国の非営利民間組織ICANN(internet corporation for assigned names and numbers)と米ベリサインが結んだドメイン名運用管理業務に関する契約を承認した。承認された契約によって、「net」と「org」の一般トップレベルドメイン(gTLD)の管理権限をベリサイン以外の企業に段階的に移管する。(下表)

表.gTLDの運用管理体制の変更および新設の予定
時期対象ドメイン内容
2001年予定name開始時期等不明
2001年予定pro開始時期等不明
2001年9月初旬info米アフィリアス(Afilias)によるinfoドメインの運用が開始
2001年10月1日biz米ニュー・レベル(NeuLevel)によるbizドメインの運用が開始
2002年12月org米ベリサインがorgドメインの運用管理を終了。ICANNによって承認される予定の別の非営利民間組織が管理業務を継承する予定
2005年6月net米ベリサインがnetドメインの運用管理を終了。新たな登録事業の市場競争モデルを構築し、別の民間企業に管理業務を移管する
2007年11月com米ベリサインによるcomドメインの運用管理の契約期間が終了。ただし、その後もベリサインによる管理が継続する可能性が高い

 現在、「com」、「net」、「org」のドメイン名登録情報は、ドメイン名全体の運用方針を決める役割を担うICANNが米ベリサインに委託する形で運用・管理している。米商務省の方針によりこの委託関係を他の企業にも参入機会を与える方向に変更する調整が続いていた。

orgは2002年、netは2005年に解放

 今後、ICANNは2002年12月末までに、orgドメインを管理する新しい非営利民間組織を認定。ベリサインから管理権限を移管する。netドメインの管理体制には、新たに市場競争モデルを導入し、2005年6月末までにベリサインから別の民間企業に権限を移す。
 comドメインについては、ベリサインが継続して2007年まで管理することが決まり、それ以降も契約更新による管理の続行が可能となった。ただ、その条件として、レジストラ同士の市場競争を阻害しないために、管理業務と登録業務が完全に分離されているかどうかの審査を定期的に受けることになった。
 ICANNは今回の契約更新とは別に、新たに追加する準備を進めていた「biz」、「info」の2つのgTLDについても、具体的な運用スケジュールを5月15日に公表した。既に選出を終えていた2つのドメイン名の管理企業と正式に運用委託の契約を交わした。
 infoドメインの運用を委託される米アフィリアスは、6月後半から商標権保有者などを対象に1ヶ月間の優先登録受付を開始。8月中にも正式運用を始める予定。
 bizドメインの運用を委託された米ニュー・レベル(旧英JVチーム)は、9月25日から先行登録を受付、10月から正式運用を開始する。こちらは商標権者に対する優先登録期間は設けない方針。



(付録) 関連URL
ARIN(American Registry for Internet Numbers)=http://www.arin.net/
RIPE(Reseaux IP Europeens)=http://www.ripe.net/
APNIC(Asia-Pacific Network Information Center)=http://www.apnic.net/
ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)=http://www.icann.org/


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